自分が本当に求めているものは何か?
転職するか、今の会社にとどまるかを考えたとき、最終的には「自分が本当に求めているもの」が何かを理解することが重要です。それはお金であったり、地位であったり、家族との時間であったりするかもしれません。そして、その答えは人生のステージによって変わります。
私の20代前半は「仲間」を求めていました。友達がいて、居場所があると感じられる環境が最も重要でした。しかし20代後半になると、より多くの「認められたい」という欲求が強くなり、周囲に影響を与える力を求めるようになりました。そしてその結果、地位や役職が得られる高いレベルの仕事を追い求めるようになりました。
今、30代後半の私は再び求めるものが変わりました。それは、これまで築いてきたものを活かし、経済的な成長を目指すことです。
このように自分が求めるものが変化していく中で、大きな決断をしなければならない時があります。私にとって、SONYを離れ、リクルートテクノロジーズに転職したということは大きな決断の一つでした。
SONYでの挫折
私は、SONYのVAIO事業部で働いていましたが、当時、その事業部は財政的に厳しい状況にありました。実は、経営陣はすでにVAIO事業部を売却する方針を固めていたのですが、インサイダー取引規制のため、末端の社員にはすぐにはこの情報が伝えられませんでした。
事業売却を知っていたマネージャーたちは、出張や新規プロジェクトへの取り組みをすべて停止してしまい、当然ながらモチベーションも大きく低下していました。その結果、何も知らされていなかったチーム全体の士気も完全に落ち込んでしまったのです。
転職を決めた理由
28歳だった頃の私はエネルギーとアイデアに満ち溢れていました。じっとしていることはできず、変化を起こしたいと思い、人事部に「どうすればマネージャーになれ、このチームに影響を与えられるか」と尋ねました。
しかし、返ってきた答えは私を打ちのめしました。「SONYでは、マネージャーに昇進できるのは40歳以上が基本です。運が良ければ38歳で低いレベルのマネージャーになれるかもしれませんが、それが最短です。」
12年間も待つのは無理だと感じました。その時の私はとにかく忍耐力がなく、今すぐに世界を良くしたいという衝動がありました。今振り返れば、もっと良い方法があったかもしれません。他の事業部に異動をお願いしていれば、エネルギーやアイデアを活かせる場所が見つかっていたのかもしれません。
しかし、そのときの私はLinkedInのプロフィールを更新し、転職エージェントの連絡を待つという道を選びました。
リクルートテクノロジーズへの移籍
転職エージェントの1人から、リクルートテクノロジーズのポジションを紹介されました。大学時代の友人たちがすでにリクルートで働いており、彼らに話を聞いたところ、会社の評判は非常に良かったのです。彼らはリクルートを心から楽しんでおり、10年経った今も彼らはリクルートに残っています。
その話を聞き、いくつかの候補を検討した結果、私はリクルートに移ることを決めました。
新たな壁
最初のうちは、リクルートのダイナミックな環境と素晴らしい人々に魅了されました。しかし、1年が経つ頃、新たな壁に直面しました。
私が望んでいたのは、プロジェクト計画、プロジェクト管理、そしてUXデザインの仕事でした。しかし、私がUXリサーチに優れていたため、その方向に押しやられてしまいました。リサーチは楽しいものでしたが、そのキャリアパスには限界が見えていました。私はもっと上を目指したかったのです。
その限界が見えたとき、私はモチベーションを失い、再び転職を考えました。
上司からの賢明なアドバイス
そのとき、私の上司が賢明なアドバイスをくれました。「なぜ辞める必要があるんだ?この会社は大きいんだから、私が君の目標に合った別の役職を見つけるよ。」
彼はその言葉どおり、私の目標に合った新しいポジションを見つけてくれました。そして、私はもう1年、リクルートで幸せに働くことができました。
次のチャレンジ
最終的に、私は自分のビジネスを立ち上げるため、リクルートを去ることを決断しましたが、その選択に満足して退職することができました。そのまま在籍すれば、さらに成長できた可能性もありましたが、私は次のチャレンジへ踏み出す準備ができていました。
CEOの視点:会社を変えるべきタイミングとは?
このようなキャリアと8年間CEOを務めてきた経験を通して、会社を転職するか(もしくは起業するか)どうかの決断で大事なことは、単に仕事の問題ではなく、「今の自分が人生で本当に求めているもの」を見極めることだと気づきました。
その答えに辿り着くためにも、次のステップを自分に問いかけてみてください:
- 今、自分にとって一番大事なものは何か?
- ワークライフバランスですか?
- より多くのお金を稼ぐことですか?
- 影響力やリーダーシップを得ることですか?
- 明確なキャリアパスがあるからですか?
- それとも、心からワクワクするミッションに向かって働きたいからですか?
これらの答えは人それぞれで、人生のステージによって変わるものです。自分にとって最も重要なものを特定したら、一歩引いて考えてみてください。今いる場所でそれを実現できるのか?それとも、新しい環境に移る必要があるのか?を。
話し合いを大事にする
私が学んだことのひとつは、「一緒に働く人々にも、それぞれ夢や目標がある」ということです。もし自分が達成したいことを正直に打ち明けることができれば、相手から思いがけない助言を得られるかもしれません。
ぜひ、上司やメンター、チームメイトなど、身近な人に相談してみてください。思いがけない視点や、成長に役立つ具体的なアドバイスをもらえるかもしれません。その結果、自分の目標に合ったキャリアパスに気づいて、「今のままここで頑張るのがいい」となることもあれば、逆に「やはり転職したほうが良い」となることもあるでしょう。いずれにしても、こうした話し合いを通じて、自分にとってより明確な方向性が見えてくるはずです。
転職を決断した場合
社会は私たちが思うよりもずっと狭いものです。特に職場の人間関係において、会社を悪い形で辞めてしまうと、その噂が数年後まで影響を及ぼすことがあります。そのため、できる限り円満退社を目指した方が良いです。
円満退社を行うために下記の3つを行うことをお勧めします:
- 2~3ヶ月前に退職の意向を伝えること:2~3ヶ月前に退職の意向を伝えるのが理想的です。会社があなたの後任者を探す時間を確保できます。
- 自分の仕事を文書化すること:後任者がスムーズに業務を引き継げるように、業務のフローやプロジェクト、ノウハウなどを明確に記録しておきましょう。
- 退職後の移行をサポートする:可能であれば、自分の後任者を見つけるための面接に協力し、適任者を探すお手伝いをし、必要であればその人のトレーニングも行いましょう。
こうしたプロフェッショナルで敬意を持った退職の方法は、強固な人間関係を維持し、退職後もポジティブな評判を残すことができます。
現状を維持することを決めた場合
会社に残る決断をしたからといって、すべてが自動的に良くなるわけではありません。むしろ自分自身やチームのために職場をより良い場所にしていくという積極的な行動が必要です。
しかし現実問題として、会社側の問題で職場環境が良くならない場合も多いでしょう。
でも、だからといって全てが会社の責任だということでもありません。職場の文化や協力体制、そしてあなたたちのキャリアパスを実際に決めるのは、そこにいるあなたとチームの仲間たちなのです。
現状を維持することを選んだなら、自分の役割をしっかりと受け止め、職場を人々が成長しやすい、そして働きたいと思える場所に変えていきましょう。「とどまる」のではなく、「より良くする」ことが大切な鍵となります。
最後に
会社に残るか、転職するかの決断はあなた次第です。そしてその選択は、今の自分にとって最も重要なものに一致しているべきです。
どちらを選んでも、あなたの成功を心から願っています。もし迷いや不安があるなら、ぜひ私のSNSで気軽に連絡してください。一緒に考え、最適な道を見つけるお手伝いをさせていただきます。
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