新規事業を成功させたい!でも、何から始めて、何に気を付ければ良いのか分からない…そんな悩みを抱えていませんか?
YouTubeチャンネル「Top Management Podcast by Dore」にseeink株式会社の日比野由空氏が登場し、新規事業を成功に導くための貴重なヒントを語りました。18歳から起業し、これまで数百件以上の新規事業に関わってきたプロフェッショナルの視点から語られる内容は、あなたの新規事業への挑戦にきっと役立つはずです。
ゲスト:日比野由空氏
seeink株式会社代表。18歳で起業し、これまでに数百件以上の新規事業創出に関わるプロフェッショナル。
新規事業、まず知っておきたい「失敗パターン」
日々野氏は、新規事業が失敗に終わる際に多く見られるパターンをいくつか指摘されています。
プロダクトアウトに偏りすぎる
研究開発で生まれた優れた技術や製品があっても、「これが市場でどのように活用されるのか?」「どんな顧客課題を解決するのか?」が見えていない場合、失敗しやすい傾向があります。特に大企業ではR&D発の新規事業も多いですが、研究自体は素晴らしくても、事業として成り立たないケースは少なくありません。研究開発は日本の活性化に重要であり、長年続けるべきものですが、新規事業として捉えるならば、事業化のマイルストーンを設定したり、活用先を並行して探索したりする必要があります。研究と事業化を混同すると、うまくいかなくなることが多いとのことです。
最もありがちな失敗要因:「やる気がない」パターン
日比野氏の経験上、新規事業が失敗する際に最も多く見られるのは「やる気がない」パターンだと強調されています。会社から新規事業を任されたメンバーが「なぜ自分がこれをやらなければならないのか?」と思ってしまうケースは、会社の規模に関わらず多いようです。ここに熱量が伴わないと、新規事業は成功しにくいというのが日比野氏のベースの考えです。
新規事業を成功に導くための「鍵」
では、失敗パターンを避けて新規事業を成功させるには、何が必要なのでしょうか。
「諦めない」ことが最も重要
新規事業は「諦めた」瞬間に失敗したことになると日比野氏は考えています。どんな事業も、当て続け、挑戦し続ければ、どこかで花開く可能性が高いとのことです。ただし、諦めないためには計画性が重要であり、計画的に新規事業を進めることが成功のために必要だとお話されています。
事業の「目的」を明確にする
新規事業を始める上で、その目的を明確にすることが非常に重要です。例えば「売上を上げたい」というのも目的のように見えますが、実は手段である可能性もあります。「何のために、どのような売上を上げたいのか?」など、その先の目的を丁寧に理解する必要があります。新規事業自体は目的ではなく、あくまで何かを成し遂げるための手段に過ぎないのです。
売上だけでなく、課題やマイルストーンを見る
特に中堅・大手企業では「5年で10億」「2年で1億」といった売上目標が設定されることが多いですが、新規事業はそう簡単に目標を達成できるとは限りません。現場の担当者が追うべき数字は、売上目標だけでなく、どれだけヒアリングを重ねたか、どれだけの課題が見つかったかといった、より詳細なマイルストーンやKPI/KGIを設定することが重要です。売上だけに引っ張られると、本来見るべき顧客課題が見えなくなってしまう可能性があるからです。
新規事業に適した「人材」とは?
新規事業を推進する上で、どのような人材が適しているのでしょうか。
最も重要なのは「熱量」
日比野氏は、新規事業に最も重要なのは「熱量」だと語ります。その領域や事業に対して熱量を持って没頭できる人材であれば、正直誰でも良いとさえ考えているとのこと。論理的思考能力やMBAなどの資格も大事な要素ですが、それよりも「熱量を持って事業を作れるか」が重要だと言います。既存事業で優秀な人が必ずしも新規事業に向いているわけではなく、むしろ既存事業ではそう思われていなくても、新規事業で力を発揮する人もいるそうです。
社内の「やりたい人」を発掘・育成する
社内で新規事業を進める場合、強制的に担当させるのではなく、「やりたい人」を採用するか、社内の人材から見つけるのが良い方法です。社内アイデア公募制度(リクルートのリングやJR東日本の温泉プロジェクトなど)は、新規事業アイデアを収集するだけでなく、新規事業への熱意やポテンシャルを持つ人材を発掘する上でも非常に有効です。失敗を前提とした投資と捉えれば、社員の育成にも繋がります。こうした制度を通じて、やりたい人を経営局や新規事業部に採用することも考えられます。これは採用マーケティングにもなりうる側面があります。
バランスの取れたチーム構成が理想
新規事業を進めるチームには、異なるタイプのメンバーがいると良いバランスが生まれます。日々野氏は自身の経験から、次のような3名の構成を提案されています。
- ナンバー1タイプ: ちょっと飛び抜けていて、何考えてるか分からないような、前に突っ走れる人
- ナンバー2タイプ: 保守的で、ナンバー1タイプを支えることができる人
- バランス役: ナンバー1とナンバー2の意見の対立を中立的に仲裁し、客観的に物事を見れる大人な人
この3名がいると、異なる視点からの意見交換が生まれ、事業に安定をもたらすことができるとのことです。ナンバー2タイプの人材は、新規事業だけでなく汎用的なスキルセット(財務、法務、事業創出の理解など)が求められるため、市場に少なく貴重だともお話されています。
理想的な新規事業の「チーム構成」は何人?
スタート時の新規事業チームは何人くらいが良いのでしょうか。
日比野氏の推奨は「3名」です。
- 1名だと、心が折れてしまう。
- 2名だと、意見が割れた場合に収拾がつかなくなるケースがある。
- 3名であれば、意見が割れてももう1人がバランスを取ってくれる。
中堅・大手企業で新規事業を始める際に10名以上のチームでスタートすることもあるようですが、走り始めは3名程度が理想的だと言います。開発チームなどは、アイデア検証が進んだ次のタイミングから加える方が建設的だとお話されています。最初に開発メンバーを入れてしまうと、本来追求すべき「あるべき姿」よりも「実現可能性」に引っ張られてしまう可能性があるからです。
アイデアはどこから生まれる?「原体験」の重要性
新規事業のアイデアはどのように見つければ良いのでしょうか。
日比野氏は、アイデアは「出そうと思って出るもの」ではないと考えています。
それよりも、自分の「原体験」がある領域に目を向けるのが非常に重要だと言います。例えば、日比野氏が犬を飼っていて感じた課題から新規事業が始まったように、自分が熱量を持てるもの、自分が日頃不満に感じていることの中に、事業のヒントが隠されていることが多いとのことです。まずは自分の身の回りに不満がないかを探してみるのが、第一歩としてお勧めされています。
日本の課題?研究開発(R&D)と事業化の連携
ポッドキャストの後半では、日本の新規事業全体の課題についても触れられています。
日比野氏は、日本の現状として、研究開発サイドと事業サイドの間に依然として乖離が大きいことを課題として挙げています。素晴らしい技術があってもなかなか売れていなかったり、その逆もあったりすると言います。テスラのように、研究開発を進めながらも事業としても成功している事例を挙げ、日本でも研究開発と事業化をうまく結びつけていく環境を作っていくことが非常に重要だと締めくくられています。
まとめ:情熱と正しいアプローチで新規事業に挑もう
新規事業は難しい挑戦ですが、今回のポッドキャストで語られた内容は、成功への道を切り拓くための重要なヒントに満ちています。
- プロダクトアウトや熱量の欠如といった失敗パターンを避け、
- 諦めない粘り強さ と明確な目的意識 を持ち、
- 熱量のある人材 を中心に、バランスの取れた少人数のチーム でスタートし、
- 身近な原体験 からアイデアを探求する、
こうしたアプローチを試してみてはいかがでしょうか。
このブログ記事が、あなたが新規事業に取り組む上での一助となれば幸いです。フルバージョンの動画もぜひ御覧ください!