近年、一定の時間だけ勤務する雇用形態が増えていますが、バックオフィス業務や人事部門においても非常勤スタッフが多くなっているように見られます。しかし、非常勤スタッフが増えるほど雇用形態や勤務時間管理が複雑化し、コンプライアンス（法令順守）のリスクも高まります。
特に人事DXやバックオフィスDXが進む現在、これらの管理をいかに効率化し、エラーを減らすかが大きな課題となっています。実際、Google検索で「コンプライアンス 人事DX バックオフィスDX」と調べると、上位記事ではデジタル化のメリットや法令改正への迅速な対応が重要視されていることがわかります。
ではここで、海外出身である私ドリーが、日本が海外から学べることを共有したいと思います。日本・アメリカ・ヨーロッパの事例を比較しながら、デジタルソリューション活用によるコンプライアンスエラー削減のポイントを整理してみましょう。
各国の特徴
■日本の場合
日本の企業は根強く紙文化やハンコが残っており、複雑な労働法、紙の書類やハンコによる承認フローによって人事・総務担当者が多忙な中で手作業の入力ミスや書類紛失が起こりやすい傾向にあります。さらに労働基準法などの改正が頻繁で、非常勤を含む従業員の勤務管理が属人的になりがちです。そこで注目されるのが、人事DXやバックオフィスDXの推進です。例えばクラウド型の労務管理ソフトを導入し、自動計算とリアルタイム通知を活用すれば、最新の労働基準や残業規定に素早く対応しやすくなります。
■アメリカの場合
アメリカでは州ごとに法律が異なり、医療保険や年金などの福利厚生も複雑です。しかし、企業のデジタル活用は進んでおり、給与計算や勤怠管理などを一元化できる人事管理プラットフォームが普及しています。また、AIによるコンプライアンスリスク検知や自動監査機能も充実しており、訴訟リスクを低減するための早期発見が重視されています。
■ヨーロッパの場合
EU圏ではGDPR（一般データ保護規則）など、個人情報保護や労働関連の規定が厳格です。多言語・多国の企業運営に対応するため、クラウドベースの人事システムで共通の基準を設けながら、各国の独自ルールも織り込む必要があります。特にGDPR準拠のセキュリティ対策が必須で、データ管理機能やアクセス制限を適切に設計できるソリューションが評価されています。
日本が学べるポイント
- 自動化による負担軽減
アメリカのように給与計算や福利厚生など定型業務を自動化すれば、人的ミスを減らし、非常勤者の勤怠管理も簡素化できます。 - 一元管理による可視化
先行事例では、勤怠・給与・コンプライアンスチェックを統合したシステムを導入し、バックオフィスDXを加速しています。日本企業も紙媒体から脱却し、多角的にデータを把握できる体制を築くことが重要です。 - リアルタイムの法令対応
頻繁に改正される労働関連法規に対応するため、クラウド上で常にアップデートされるツールの導入が有効です。 - セキュリティ強化
ヨーロッパで重視されるデータ保護の考え方は、日本でも見習う価値があります。個人情報を扱う人事部門こそ、GDPR相当の水準を目指すことが望ましいでしょう。
まとめ
非常勤を含めた労務管理やコンプライアンス遵守の難易度は年々高まっています。しかし、人事DXやバックオフィスDXを推進することで、法令改正への迅速な対応や管理業務の効率化が期待できます。紙文化が根強い日本でも、クラウドやAIなどのデジタル技術を積極的に取り入れれば、コンプライアンスエラーのリスクを大幅に削減できるでしょう。アメリカやヨーロッパの成功事例を参考に、日本独自の細やかな運用・管理体制を活かしながら、これからの人事部門をアップデートしていくことが鍵となります。
