人事ミスの隠れたコスト:HRテックで得た10年の教訓

人事労務の現場で見落とされがちなミスは、一見なんてことはないように見えますが、後に企業にとって大きなコストを生む可能性があります。私が日本でHRテック企業を経営する中で、これらの課題に迅速に対処することが、組織の成功に直結することを実感しています。

特にテクノロジーは単なる補助ツールではなく、人材管理を革新する原動力となり得ます。

企業が犯しがちな3つの人事労務ミス

  1. 手作業によるデータ入力

    多くの日本企業では、依然として紙ベースのデータ収集と手作業でのデータ入力が行われています。この二重作業は時間を浪費するだけでなく、ヒューマンエラーの温床となります。例えば、ある企業では、従業員のデータ入力ミスが原因で保険適用が1ヶ月遅れ、その結果、従業員の信頼を失い、早期退職に至りました。このような事態は、採用にかけた投資を無駄にしてしまいます。
  2. 個人情報のセキュリティ対策の不備

    人事業務にはセキュリティの問題が付きまといます。紙の書類が無防備に保管されていたり、クラウドサーバーのアクセス管理が不十分であったりすると、個人情報の漏洩リスクが高まります。私たちの会社でも、初期段階でオープンブックマネジメントを導入した際、給与情報のプライバシーやデータ保護に関する懸念が生じました。

    ※オープンブックマネジメントとは:経営側が持つ財務情報を現場に公開し、自社の業績や経営の実態、課題を全員で共有するマネジメントのこと
  3. 標準化されたプロセスの欠如

    実際、多くの企業では、休暇申請や育児休業の手続きに明確なガイドラインがなく、従業員が直接人事部に問い合わせる必要があります。この非効率なプロセスは、複数の部門に時間的な負担をかけ、従業員のフラストレーションを招きます。

テクノロジーによる解決策

現代の人事労務ソフトウェアを使えば、これらの課題に対して包括的に解決できます。例えば、従業員セルフサービスポータルを使えば、人事が二重で入力をすることがなくなり、内蔵されたバリデーション機能でデータの正確性を確保することができます。また、多くの労務管理ソフトウェアには高度な権限管理システムが組み込まれており、データ漏洩リスクを大幅に低減することができます。しかし、導入に際してはユーザーエクスペリエンス(利用者の使用感)を慎重に考慮する必要があります。こういった多機能なソフトウェアは便利ですが、複雑すぎると既に多くのシステムを使いこなしている従業員にとって、負担となる可能性があります。

私がある企業から聞いた話ですが、その企業はSlackのようなチャットツールをHRプロセスに活用し、従業員の利便性と採用率を高めているそうです。

【事例紹介】人事テクノロジーの投資効果の実態

HRテックプロバイダーのCEOとして、私は多くの企業変革を目の当たりにしてきました。

当社の調査では、私たちのソフトウェアを導入した企業は、従業員のオンボーディングにかかる時間とコストを80%以上削減しました。

例えば、5,000人の従業員を抱える企業では、半年ごとに契約更新を行っていましたが、以前は3人のスタッフが数ヶ月かけて5ページにわたる契約書を全国にいる従業員に配布していました。当社のソリューションを導入した結果、1人の担当者がCSVデータを用いて半日でこの業務を完了できるようになり、年間400万円のコスト削減を実現しました。

さらに、労務管理のデジタル化によりデータ分析が可能となり、今まで知り得なかった組織の実態を知ることができるようになりました。

導入の障壁を乗り越えるために

人事テクノロジーの導入における主な障壁は、技術的なものではなく、予算的なものです。

多くの人事部門はリソースの大半を採用に割り当てており、プロセス改善に充てる余裕がありません。私たちの経験では、成功するテクノロジー導入には、内部からの支持と確固たる投資効果の計算が必要です。意思決定者に提案する際は、「具体的なコスト削減と効率化を数値化すること」に焦点を当てましょう。

未来への展望

HRテクノロジー分野で10年の経験を持つ私の見解では、デジタルトランスフォーメーションを受け入れた組織が以前の手作業のプロセスに戻ることはありません。デジタル化による利点は無視できないほど明白です。世界の企業が進化する中で、時代遅れの人事慣行が足かせとならないようにしましょう。

HRテクノロジーへの投資は、単なるコスト削減ではなく、持続可能な成長のための基盤を構築することなのです。HRテクノロジーの導入に関するご質問や、貴社が直面している具体的な課題についてのご相談をお待ちしております。

Author: ドリー
こんにちは。ワークスタイルテック株式会社 CEOのドリーです!

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