私の後悔と学び
私の人生で一番後悔したうちのひとつは、中小企業で働いた経験がないまま、自分の会社を始めたことです。
私はSonyでキャリアをスタートし、その後リクルートテクノロジーズに転職しました。どちらも世界中に10万人以上の社員を抱える大企業です。この企業で働いているうちに、自分の成果に誇りを持ち、「これらは自分の努力のおかげだ」と思うようになっていました。でも、今振り返ると、全てが自分の努力のおかげではありませんでした。
大企業では、成功は常に大きな仕組みの一部による産物に過ぎません。周りには、様々な役割を持って活躍する優秀な人たちがいて、会社全体を円滑に運営しています。そのスケールが大きすぎて、若い社員にはその全体像を理解するのが難しいこともあります。それはまるで、効率的な工場のようなものです。自分の役割はわかっていますが、全体を把握するのは難しいのです。
実体験:大企業の現実
私がスタートアップを立ち上げたとき、その違いに大きなショックを受けました。スタートアップは大きな夢を持った中小企業にすぎません。大企業とはまったく違う仕組みで動いています。
Sonyでは、一生懸命働いていましたが、正直に言うと「必要以上に働く」必要はありませんでした。私は仕事が楽しかったので自発的に頑張っていましたが、外部からのプレッシャーはそれほど強くありませんでした。大企業は安定しているため、小さなミスや目標未達、役割の重複などを吸収する余裕があります。
しかし、この安定性には別の課題がありました。それは「社内政治」です。昇進や仕事の割り当ては、実績だけでなく人間関係にも大きく依存していました。Sonyで働いていた頃、喫煙ルームで決まることが多い状況に不満を感じたのを覚えています。喫煙者は上司と自然に接触する機会が多く、その結果、昇進が早くなりました。私は喫煙者ではなかったので、このような場に参加できず、不利だと感じることがありました。
実体験:中小企業の現実
自分の会社を始めると、全く違うダイナミクスに直面しました。
何年もの間、仲間同士が一緒に意義あるものを作り上げようとしているような雰囲気でした。
私はCEOであったにもかかわらず、社員とは上下関係なく接する関係であり、そのような環境を私は誇りに思っていました。
しかし、中小企業には別のプレッシャーがあります。それはすべてが高リスクだということです。例えば、マーケティング予算を誤って使ってしまうと、誰かを解雇しなければならないこともあります。誰もが必死に働き、プレッシャーは常に高いものでした。
それでも、やっている仕事には意味がありました。皆、自分で取り組むことを選び、自分の役割がチームにとって必要だと感じていました。面白いことに、仕事が大変であるにもかかわらず、多くの人が幸せを感じていました。もちろん私自身もそうでした。
大企業のメリットとデメリット
メリット
- 安定性:安定した給与、明確なキャリアパス、個人リスクの少なさ。
- リソース:トレーニング、ツール、大規模な予算などの利用が可能。
- ワークライフバランス:チームが大きいため、個人の仕事の負担が軽減される。
デメリット
- 官僚主義:上層部の承認が必要なので意思決定が遅く、時にフラストレーションを感じる。
- 社内政治:人間関係が昇進に大きな影響を与える。
- 所有感の欠如:成果が大きな仕組みの一部として埋もれてしまうこともある。
中小企業のメリットとデメリット
メリット
- 影響力:自分の仕事が会社の成功に直接貢献する。
- 成長の機会:小規模なチームでは、様々な役割に挑戦できる。
- 意味のある仕事:自分の努力の結果が明確に見える。
- 自律性:上司に承認をもらうような手続きが少なく、仕事の進め方を自分で決められる。
デメリット
- 高いプレッシャー:一つのミスが重大な影響を与える可能性がある。
- 不安定性:大企業に比べて、財務的な余裕が少ない。
- マルチタスク:複数の役割を同時にこなす必要があり、個人の負担が大きい。
私からのアドバイス
あなたにとって「仕事での幸せ」とは何ですか?
私の友人は小さな会社から大企業に転職し、「プレッシャーが減ったことで本当に幸せになった」と私に話してくれたことがあります。一方で、大企業から小さな会社に移り、「自分に大きな権限が与えられた今の環境が幸せだ。もう二度と大企業には戻りたくない」と話す友人もいます。
ぜひ、両方を経験してください。今の時代、両方の環境を試すことは簡単です。フリーランスや契約社員として働き、それぞれの雰囲気を感じ、人々とつながり、自分に合うかどうかを判断してください。
統計的には、中小企業で働く人々の方が満足度が高いと言われています。しかし、中小企業はそのまま小規模に留まる可能性も高いです。「とにかく稼ぎたい」という場合は、大企業の方が適しているかもしれません。
もし迷っているなら、ぜひ私のSNSで気軽に質問してください。一緒にあなたに最適な道を見つけるお手伝いをさせていただきます。